最新の「世界の瓷都・景徳鎮」

2015/05/01
景徳鎮陶瓷学院客員教授
景徳鎮学院文化大使
美濃陶芸協会会員
東洋陶磁学会会員
日中関係学会会員
日中文化協会会員
岐阜日中協会会員
元愛知県立窯業高等技術専門校訓練課長

二十歩(にじゅうぶ) 文雄

中国・江西省・景徳鎮市は江西省の東北部にある国家歴史文化名城(都市)であり、市内中心部に流れる昌河の南岸に位置している。古くは漢代・唐代が陶磁器生産の起源といわれている。旧市の名称は昌南鎮と呼称されている。昌河の南の都市という意味である。また、昌南鎮は中国語読みでは「チャンナンチン」である。この「チャンナンチン」が「チャイナ」と変化したといわれている。「チャイナ」は中国を代表する名称でもある。北宋の景徳年間に年号により「景徳鎮」と改名された。明・清代には官窯が置かれて北京中央政府の指導の下に華麗で精緻な陶磁器が作られて全世界で高い評価を得ている。

宋代に青白磁「影青・インチン」の梅瓶などを焼造され、元・明・清代には「青花・チンファ」と呼ばれる染付の優品が大量に産出し宮廷で用いられて欧州・イスラム圏など海外諸国に広く輸出され「china」の語源となった。

市内中心部から1時間で磁器の原料が大量に産出される高嶺山(カオリン山)があり陶磁器生産を容易に可能にした。現在は明代にすでに枯渇している。原料は市内では良質なものは少なく隣の市である九江市や山東省から入っている。近年の情報では内モンゴル自治区にカオリンの大鉱床が発見されたという。今世紀は全く心配ないという話である。

景徳鎮市の人口は公称165万人といわれている。中国の統計は不確定要素が多く実際は周辺の省からの労働者が産業活発化にて流入しているので、その総数は定かではなくそれ以上の人口であると推察される。165万人のうち約20パーセントが陶磁器関連職種に従事しているといわれる。市内の産業は自動車・機械・エレクトニクス・化学産業・建材・医薬産業が活発である。また古来から緑茶の名産地の一つでもある。 

交通網としては従来の鉄道があり、近くの町には上海発の新幹線が走り、間もなく景徳鎮にも入るといわれている。また高速道路網は日々建設されていて国内移動は大変至便である。空路としては新しい景徳鎮空港が建設されており上海から600キロ約50分の往復便が1日1便ある。現在は北京・広州・深センなどの便も拡充している。

景徳鎮市内には私の勤務する大学で中国で唯一「陶瓷」という名前を冠に掲げた「景徳鎮陶瓷学院」が存在する。 学生数2万人・教員数は1千人を超えています。教授数は2百人を超えて大学院では1学年3百人在籍する。博士課程もあり中国全土から羨望の的で受験してくる。留学生数も年間1百人を超えている。世界各地から留学生を受け入れている。少ないのは日本であり残念である。韓国が近いということもあり一番多い。国立大学であり難関校の一つであり9学部がある。教授では日本でいう人間国宝が12人いて学生に優作品を提示して刺激を与えている。

【写真1】=景徳鎮陶瓷学院での古陶磁・陶片の説明授業

【写真2】=卒業制作指導風景

例年、市内で開催の中国景徳鎮国際陶瓷博覧会も年々と充実化で場所も昨年から恒久的に使用する会場で開催されている。ただ世界の陶磁器を見せるといったイベントでなく中国らしく商談を進める趣旨で行われている。近年の出店傾向としては台湾・北朝鮮・アフリカ諸国が参加している。少ないのは残念ながら日本です。ビジネスチャンスと捉えて日本の企業の出店を期待したいものです。10月18日から5日間で市内は国際色一色となり関連行事も多数開催されている。世界の陶磁器をすべて見るような印象である。是非、日本の陶磁器関係者には一見の価値はあるとわたしは思っておりますが。

現在、中部空港から空路で景徳鎮来訪の航空運賃は往復10万円強です。観光としてもビジネスチャンスとしてもその価値はあると思いますが。市内のホテルや飲食代は商都・上海と異なり大変低額です。3泊4日で市内要所はほぼ視察可能です。日本の陶磁器関係者は是非是非に体感していただきたく思います。

来年2016年は景徳鎮市と瀬戸市の友好都市締結20年という佳節年となります。この年には互いの行政間や民間交流行事が企画されるものと推察いたします。中国経済はバブルで間もなく停滞と揶揄する評論家がいます。私日々生活する実感からはそれは感じられません。毎日、大量の陶磁器が生産されて販売活動は衰えることはありません。国内経済上昇で購買力はますます上昇している。土・日の市内に来訪する国内観光客は観光バスで工場に直接入り見学後に陶磁器を購買します。そして個人作家の高額な陶芸作品も買っていきます。私は自分の目でそんな場面をたびたび遭遇します。確かな購買力です。

現在の市内は今までと異なった現象も多く散見します。市内中心部は土地がなくマンションは30階以上の高層マンションが林立して日々建設されています。郊外には広大な敷地の一戸建ての住宅が建設されています。まだ景徳鎮は個人の家確保の購買力は旺盛です。さらに収入増大で自家用車の保有が半端ではありません。朝晩のラッシュ時は大渋滞化している。道路や駐車場確保が追いついていない姿である。 以前は市内ではごみを放置することが多くて環境悪化もありました。これもごみ箱が多く設置さ回収車が頻繁に回収する。そして朝晩は幹線道路には散水車が稼働している。環境問題にも市側も積極的である。広大な国土と超過密人口であるので、少しずつの進展はやむ得ない印象である。しかし確実に成長していることは私の生活実感として認識している。瀬戸市民の景徳鎮市との国際交流や陶磁器を通じての交流が盛んになることを祈って止みません。

【写真3】=市内初の小学校の歩道橋

【写真2】=建築中の高層マンション群

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