オオサンショウウオの保護活動

2013/08/01
瀬戸オオサンショウウオの会 服部 郁

 毎年6月末から7月初めにかけて、瀬戸市下半田川町の蛇ヶ洞川では、オオサンショウウオ人工巣穴の清掃作業が行われている。8月から9月はオオサンショウウオの繁殖期であり、オスが巣穴を確保してメスの産卵を迎える。清掃は、繁殖行動が始まる前に巣穴にたまった土砂を取り除き、オオサンショウウオが利用できるようにするために行われる。地元の方と市が募集した一般の方が参加し、オオサンショウウオが発見された場合は、観察会が行われ、子供たちは近くで魚や水中生物を探すという、誰もが参加できる行事として続いている。

 今年は6月30日(日)に50人以上の方が参加して行われ、巣穴とその周辺で2匹のオオサンショウウオが発見された。初めて参加された方は、実際に見るオオサンショウウオの大きさに驚き、その小さな目や赤ん坊のような手に「カワイイ」と歓声をあげた。

蛇ヶ洞川のオオサンショウウオ

蛇ヶ洞川のオオサンショウウオ

  この巣穴清掃はオオサンショウウオ繁殖のための環境整備として行っているが、それ以上に、この蛇ヶ洞川にオオサンショウウオが生息していることを多くの方に知っていただきたいという思いがある。オオサンショウウオは特別天然記念物に指定され、知名度は高い。しかし、その姿を自然の中で見る機会は、夜行性の動物ということもあって、あまりない。実際に見ることで、生息地への関心を持ってもらいたいという思いである。

 おそらくオオサンショウウオ保護にとって最大の敵は密猟者や不法開発者ではなく、「無関心」である。蛇ヶ洞川ではかって上流域に産業廃棄物であるフェロシルトが埋め立てられ、大雨により流失し、人工巣穴周辺に赤濁した泥水が押し寄せたことがある。最初はリサイクル埋戻し材として搬入したとされるが、人目につかず関心を持たれない場所として選ばれたのだろう。皮肉にも赤濁水が特別天然記念物の生息地を襲ったことで注目されることとなった。その後すべてのフェロシルトが撤去されることとなるが、この場所が最初からオオサンショウウオ生息地として注目され、広く関心が持たれていれば、選ばれることはなかっただろうと思う。

 蛇ヶ洞川のオオサンショウウオは、現在のところ57個体確認されている。西日本の一般的な生息地に比べ、生息個体数が少なく、平均サイズも大型化している。これは、次世代が順当に育っていないことを示しており、生息地としては将来が危ぶまれる状況にある。

 現在は、市と地元の保護組織である「瀬戸オオサンショウウオの会」が協力して、巣穴清掃や河川清掃、繁殖期の夜間調査や夜間観察会を行っている。こうした活動を通じて、オオサンショウウオの生態を把握するとともに、蛇ヶ洞川を多くの人に知ってもらい、関心を高め、保護活動に関わってもらう。そうした中から保護についての新しい知恵や手法がみつかるのではないか、時間のかかる話ではあるが、そう考えている。

◇---------------------------◇---------------------------◇

外部リンク:オオサンショウウオの生息する町(愛知県瀬戸市)

※再生と同時に音声がでます。

掲載の記事・写 真・図表などの無断転載を禁止します。

著作権は深川神社またはその情報提供者に帰属します。