藤四郎トリエンナーレとその後

2013/07/01
第1回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ グランプリ受賞 田中良和

 原土を出来るだけ単味で扱うことは最初に決めていた。それが土の魅力を一番引き出せると考えていたからだ。扱う土も土を採りに行った時点で「より土」にしようと思った。なんとなく人気がなさそうだったからだ。特にどういう作品にしようとは考えていなかったが、先に土が決まった。あとは「より土」とはどういう土なのか、どこが魅力なのか、長所は?短所は?と考えた。

 自分の考える「より土」の魅力は、外部からの影響を受けやすく緋色が表れやすいことだった。前々から貝高台をした際に、貝殻の中に詰めた「より土」に緋色が大変綺麗に現れると思っていたこともあり、これを大きなサイズで表現したら面白いのではないかと考えた。

 短所は脆いこと。作品を分厚く作ることや、1300℃以上の高温で焼成することで多少の焼き締まりを期待したが、まだまだ課題が残った。

 土作りの際に、採取した「より土」の中でも塊によって微妙に色が違うことに気がついた。そのため塊ごとに分けて土を作った。大きな石以外は取り除かず、なるべく原土の状態を大切にした。一部鬼板を混ぜたところはあるが、作品に現れた色の違いは塊ごとに分けた土の色の違いによるところが大きい。

 成形段階では色の違う土ごとに層になるように大きなタタラを作り、巻き寿司をつくる要領で心棒に巻きつけた。窯詰めは作品を横に寝かし周りにレンガを組み、その隙間を炭と、籾殻と大量の貝殻で埋め尽くした。

第1回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ グランプリ受賞作品

 結果的にグランプリという大変名誉ある賞をいただくことができた。賞をいただくことが初めてであったため、大変嬉しかったし自分に自信が持てた。これでいいんだと思えたし、やっと発言権を得られたような気もした。

 そして受賞は過去のことであり今思うことは、あの作品は原土から扱うという特殊な公募展だから賞をいただけたのだろうか、もし他の公募展に出品していたら結果はどうだったのだろうか、厳しいのではないか、とも思う。

 陶芸の魅力は人それぞれであり、釉薬に魅力を感じる人もいれば、装飾に魅力を感じる人もいる。私の場合は土であり、土の質感、触感、匂い、色彩に魅力を感じる。だから作品には自分が感じた土の魅力を表現したいと思う。普段から作品づくりに原土を使用することがあるのだが、なるべく原土に何かを混ぜて扱いやすくするのではなく、土に合わせて技法、焼成等を考え、自分自身を動かしたい。それは原土に何かを混入すればするほど、土そのものの魅力が失われるように思うからである。

 来年の4月には瀬戸市美術館において初の個展を開催していただく。出品作品は原土のものを中心にと考えている。取り組む中で新しい発見もあり面白い。あまり気負わず、土との会話を楽しみながらも挑戦的な作品を作れたらいい。この個展が自分の分岐点になればいい。

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