瀬戸市マルチメディア伝承工芸館(瀬戸染付研修所)

2011/11/01 RE建築事務所 三輪邦夫

 この施設は「瀬戸染付」の伝統技術を保存・継承していく人材の育成と制作風景を公開したり、映像等の情報を全国に発信し、「瀬戸染付」の普及・啓蒙することを目的で、平成12年(2000年)4月15日にオープンした。本館・交流館・古窯館の3つの建物で構成されている。

 尾張瀬戸駅から東方面へ歩いて約20分のところに建っている。敷地は丘陵地の中ほどにあり、坂道が多くて道幅が狭い、北斜面、平らな場所が少ないなど、瀬戸ではどこでも見られる風景の中に位置している。

 敷地面積は460.39u(約140坪)。本館は木造2階建て、延べ床面積138.34u(約42坪)。屋根は太陽光発電付鋼板葺き、外壁は板壁と土で周りの風景に溶け込ますと同時に、古さだけでなく新旧の融合も取り入れる。擁壁も兼ねたコンクリート壁には染付けの皿などを埋め込み、単調になりやすいコンクリート擁壁をデザインする。1階は事務室、情報サービスセンターなど管理部門と情報発信機能を配置。2階は研修生の発表の場、ハイサイド窓を多く設けることにより、作品をできるだけ自然の光りの中で展示できる工夫をする。

 交流館は木造2階建て、延べ床面積227.74u(約69坪)。屋根は日本瓦の桟瓦葺き、外壁は東・西・北面を下見板張り、南面は漆喰塗り。江戸時代から続いた染付窯屋「古陶園竹鳳窯」(伊藤伊平家)の細工場を復元した。施行の前と後瀬戸にはもともと「モロ」と呼ばれる工場が多くあり、瀬戸の風景を形成する要素の1つになっていた。今でもところどころに残っている。1階南側は絵付け等の作業をするためにできるだけガラス窓を設け、北側はほとんど窓もないところでの作業であったという。復元された建物の施工方法は差し鴨居、渡りあご、長ほぞ、1階の床はたたきの土間、などなど可能な限り伝統的な工法を取り入れる。1階は研修生の制作の場、ろくろや絵付け作業の様子を見ることができると同時に情報化して全国に配信している。2階はもともと製品の保管場所も兼ねた倉庫であり、柱と小屋丸太が整然と配置されていた。その空間構成は変えずに染付けに関する資料や映像を見ることがでるほか、染付の名品が展示されている空間に再生する。

 古窯館は延べ床面積32.25u(約10坪)。登り窯の一種である古窯を展示している。上屋は鉄骨造、スレート葺き。平成9年(1997年)に瀬戸市指定文化財に指定されており、完全な形で残されている最後の古窯である。

瀬戸市マルチメディア伝承工芸館:愛知県瀬戸市西郷町98番地
公式サイト:http://www.seto-cul.jp/multimed/







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