瀬戸文化財保存会の足跡

2010/12/01 瀬戸文化財保存会会長 長江克彦

 瀬戸文化財保存会は「瀬戸陶磁文化保存会」(昭和27年設立)を前身とし、昭和39年12月の瀬戸文化財保存会第1回発起人会を経て、翌40年1月の設立総会に至った。

 昭和48年5月には故水野高平氏を会長に迎え、以後40年にわたり文化財保存事業を積極的に展開してきた。

 会員を対象とした啓蒙事業としての春と秋2回の文化財めぐりは、発足当時から現在まで続き、京都・奈良を中心に歴史的遺産を数多くめぐりながら、脈々と受け継がれてきた事業であり、本会の歴史そのものともいえる。現在でも本会の中心事業であり、人気は高い。

 また、昭和49年から、会員などの寄稿や会の事業報告などを連載した会報『文化財報』を発行し、平成4年に発刊された第13号まで、様々な内容を会員や市民に発信し、現在では貴重な本会の足跡となっている。近年では、平成16年に、ガイドブック歴史と文化を訪ねて『歩こまァー瀬戸』を発行、瀬戸市内の歴史的な文化財を紹介する冊子として、市内の公共施設へ寄贈した。

 そうした事業の他にも、昭和40年代から50年代までの間、「芸能鑑賞会」や「郷土資料展」「百碗展」「瀬戸染付展」などの観覧型事業を開催し、瀬戸の貴重な歴史的資料や名品を本会事業として世に出すことで、文化財保存に対する啓蒙活動を積極的に行ってきた。

 さらに、主に50年代には「懇親茶会」を催し、会員の親睦も図るなど、本会の活発な活動状況がわかる。

 特に昭和50年以降は、貴重な文化財を探求、発掘して永く後世に継承されるよう、古陶器作品などの歴史的名品や文化財資料等、400点余りの文化財を瀬戸市をはじめ、関係施設に寄贈を行ってきており、瀬戸市の文化財保存に多大な貢献をなしてきた。

 こうした、文化財保存事業への貢献が認められ、平成11年には瀬戸市文化協会「つばき賞」を受賞している。

辰砂釉柘榴文花瓶

【写真】=平成18年度寄贈「辰砂釉柘榴文花瓶」(加藤土師萌作 昭和4年(1929)高さ35.0p)

 会発足当時と比べ、瀬戸市における文化財保護を取り巻く状況は確実に進展してきており、瀬戸市文化センター美術展示ホールが瀬戸市美術館となり、瀬戸焼の歴史展示を担う博物館として瀬戸蔵ミュージアムができるなど、行政的な側面からも、多くの施策、支援が行われ、また、平成17年には(財)瀬戸市文化振興財団が設立され、幅広い文化財保存事業が期待できる状況になってきている。

 こうした現状は、これまで本会の先輩諸氏の努力により成し遂げてきた功績であり、先人への感謝と同時に、今後の瀬戸市の文化財保存への理解が益々深まり、後世に伝わっていくことを願ってやまない。

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