「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
巨大竜巻で被害を受けられたアメリカの方々にはお見舞いの言葉もない惨状をテレビの映像で見た。哀悼の意を送りたい。「モンスター」と現地のアナウンサーが叫んでいたが、まさにモンスターであった。人間とは自然の脅威の前にはちっぽけなものだと改めて痛感した。
今月は救命、救急講習が重なった。
一つは、瀬戸消防署の救命講習会である。私自身は、これで3回目の受講になる。当神社では、平成20年に瀬戸北ロータリークラブからAEDを寄贈していただき、実際に平成21年の元旦にそのおかげでお客様が一命を取り留めた。よい道具を持っていても使えなければ宝の持ち腐れとなる。非常事態の精神状態は、その状況に陥ってみないと分からない。しかしながら、方法を知っているのと全く知らないのでは、行動に雲泥の差が出るだろう。AEDは電源を入れれば、音声で指示を与えてくれる。それでも、使うには勇気がいるだろう。仮想であっても実際に練習したかどうかでは、使うときの精神の安定度は異なるものだろう。また、それ以上に肝心なのは、AEDができるのは、心臓の細動を取り除くための電気ショックを与えるだけで、心臓マッサージを適切に行えるかどうかである。人工呼吸2回に対し心臓マッサージ30回を実際に2分間続けると、かなりしんどい。それでも、救急車が来るまで続けなければならない。
いつ、どこでふりかかるか分からない災害に備え、できるだけ多くの人が、しかも中学生など若い時期から救命についての基礎知識と練習の機会を持つことが望ましいと思う。
もう一つは、日本赤十字社の災害時に出来ることの講習である。
いくつか講習内容を紹介する。避難所で毛布を配で動きやすく暖を取る方法は、着物の着付けを応用したもので、普段でも救急で病院に行くときに最適な毛布の利用の仕方であった。いや、ガウン代わりに常用したくなるオシャレさと温かさであった。また、レジ袋とタオル二枚を用いて、紙コップたった半量のお湯でホットタオルを作る方法は、洗面器いっぱいのお湯にタオルをつけていた自分は、なんてお湯の無駄使いをしていたんだ、と目から鱗が落ちる感動(笑)であった。日本ならではだと思ったのが、風呂敷で簡易リュックサックを作る方法。これらは、日本赤十字社の災害時高齢者生活支援講習ハンドブック「災害が起こったときに あなたが支援できること」に掲載されている。
東日本大震災から2年以上が経ち、震災の記憶を風化させないようにしなければ、と叫ばれているが、被災地から離れ日常生活を何不自由なく送っていると遠い記憶となってしまう。私は、朝、つけているFMラジオの番組が被災地の様々な現状を伝えるのを聞き流すことで情報を得ている。その番組中でも多くの被災地が今もっとも憂えているのは、「自分たちは忘れられていくのではないか」ということだ。何もできなくとも、知ることだけでもいいのかな、と聞いている。
先日、岩手県大船渡市にある「北浜わかめ組合虹の会」から新わかめが届いた。自分が「わかめサポーター」に登録したのをすっかり忘れていた。1期1000口で支援を呼びかけていているのを知人に教えてもらったが間に合わず、私は、2期目に応募した。この組合は、わかめの塩蔵加工施設が整ったので「わかめサポーター」は終了するとのことだ。人とは、たくましいものだ。
水に放つと若々しい緑が鮮やかで、肉厚のわかめはおいしかった。海は、様々なものを奪い去っていったが、やはり、恵の海であるのだと思った。
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