「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
今年は、ヘビ年です。ヘビがお使いの神様は、弁財天です。弁財天は、七福神の神様の一人ですが、日本では、イチキシマヒメと融合されています。深川神社の境内の奥まった所にも弁財天をお祀りする市杵島神社があり、5月1日は、例祭が行われます。
弁財天は、その名前に財があるとおり財運の神様、琵琶を手にしているように芸能の神様、そして、琵琶の形が陰と陽を表すことから男女の和合の神様としても信仰されています。深川神社界隈は、その昔は1日、15日ともなれば人でごった返す賑やかな場所で、歓楽街でもありました。芸者さんもいた時代は、芸の上達を祈る女性が熱心にお参りしていたと聞いています。
さて、その弁天さんの境内には、一本の大きなクヌギの木があります。そのクヌギにはある言い伝えがあります。それは、いがいがの殻斗の中に実が入ったままのクヌギを拾うと良縁に恵まれるというものです。万葉の時代は、クヌギは、橡(つるばみ)と呼ばれ、布の染料として使われていました。橡で染めた衣のことを歌った恋の歌は、万葉集に六首もあるとのことです。
そこで、今回そのクヌギの力にあやかろうと、昨秋、大人が数名で必死にドングリ拾いをして実を集め、その実で和紙を染めてもらいました、橡色は、銀ねずみ色で地味です。その一色だけでは少々さびしすぎるので、マメ科の蘇芳(すおう)の樹皮を染料にした薄桃色の和紙を相方に作ってもらいました。美しい二種類の和紙糸を束ね縄をなうようにして、一つ、一つ丁寧に手作りして出来上がったのが「弁天御守」です。
神様の御恵と自然の恵みの両方をいただいて、お一人、お一人が心に念じる願い事がかなうようにお祈りいたします。
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