タイムカプセル開封に寄せて

2012/09/22

平成14年10月14日、秋晴の空の下、本殿修復記念奉祝御稚児行列を執り行いました。あれから10年の月日が経ち、平成24年10月14日に、本殿裏に埋めてあったタイムカプセルを掘り出し、納められていた御稚児行列参加者の方が10年後のお子様にあてて書かれたメッセージを返却しました。

掘り出し作業は、事前に行いまいした。場所の判別がしにくいぐらい土に埋もれていたのを掘り当て、10センチほどの厚さのコンクリートの蓋をやっとの思いで開けた瞬間に、私たちは唖然としました。直径1メートルほどの穴は、しっかりと水が溜まっていたのです=写真下。中には除湿用にと炭がふんだんに入れてあったのがかえって滑稽で、メッセージを納めた陶器の器と記念のワインはビニールでぐるぐる巻きにしてありましたが、全て浸水していました。

蓋を開けたとき

【写真】=蓋を開けたとき

取り出した21世紀記念ワイン(手前)とメッセージを納めた陶器の筒

【写真】=取り出した21世紀記念ワイン(手前)とメッセージを納めた陶器の筒

くっついてしまったメッセージを1枚1枚慎重に、丁寧にはがして乾かしました。そのどの1枚を拝見しても、子を思う親の貴い心に胸が熱くなりました。おそらく10年に書かれた内容は覚えておらず、10年経った今は、その頃とはまた異なる思いでお子様を見守っていらっしゃることでしょう。

メッセージを乾かしているところ

【写真】=メッセージを乾かしているところ

過去の出来事は、一つ一つが点であり、その点がつながって現在に結びついていますが、結んだ線は必ずしも直線ではないことでしょう。そして、その一点、一点がご家族の歴史であって、お返ししたメッセージがご家族への過去からの小さくとも温かな宝物となることを願っています。

十年一昔とよく言いますが、一口に十年と言ってしまっては片づけられないほどのことが、それぞれのご家族にはあったことと思います。0歳だった赤ちゃんは、もう小学校の四年生になっているように、子供の成長は目を見張るものがありますが、大人の10年は、どうだろうかと顧みると恥ずかしくなります。

最後に、転居されて返す当てが見つからないメッセージが十数枚あります。ぜひ、お渡ししたいので、お心のあたりの方はご連絡ください。

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