「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
市杵島社は、深川神社からちょっとした抜け道でつながったお末社です。御祭神は市杵島姫命。アマテラスとスサノオの誓約で誕生された五男三女神の一柱です。市杵島神社が俗に「弁天さん」と呼ばれているのは、市杵島姫命が神仏混淆により仏教における福徳賦与の天女・弁才天と同一視されたためです。
琵琶を手にしたお姿で親しみ深い弁才天は、もともとは古代インドの河川の女神でした。バラモン教やヒンドゥー教で幸福をもたらし、学問、技芸、夫婦和合を司る神として篤く信仰されていたものが、後に仏教に取り入れられて日本に伝来。同じく水に関わりの深い市杵島姫命と習合したのです。日本では「才」が「財」に通じることから、弁財天と書いて、財産をもたらす神としても敬われています。
さて、市杵島社の境内には大きなクヌギの木が一本あります。クヌギは古名をツルバミといい、材質は堅く、古くから建材や船舶に使用されてきました。秋にはお椀形の帽子をかぶった大きくて丸いドングリの実をつけます。
この帽子を専門的には殻斗(かくと)と言いますが、殻斗がついたままのクヌギの実は縁結びの御守りで、肌身離さず持っていると、いい人に巡り合えると言われています。時折、年頃のお嬢さんや、独身の息子さんをお持ちのお母さんが、実を拾いにいらっしゃいます。
また、樹皮やドングリの皮は「つるばみ染め」の染料にも使われており、大伴家持の、 紅は うつろうものぞ つるばみの なれにし衣に なおしかめやも という歌が万葉集に残されているほど、日本人には馴染みの深い木なのです。
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市杵島姫命・弁才天を祀る有名な社寺
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