みずみずしい命

2011/05/14

境内も若葉の美しい季節となりました。毎年のことながら、瑞瑞しい若緑は、その度に生命の新しさとたくましさを感じます。なぜか方丈記の冒頭が浮かびます。

境内も若葉の美しい季節となりました

川の流れは絶えずして、しかも もと(本)の水にあらず。淀(よど)みに浮ぶ うたかた(泡沫)は、かつ消えかつ結びて、久しく止(とゞ)まる事なし。世の中にある人と住家(すみか)と、またかくの如し。

とどまらないということは、ある意味、「必ず変わる」と言えます。 冬に残ることなく葉を落とした木も、また新しい青々とした葉をつけるように、様々な形で震災に遭われた人々も、必ずやうちなる生命の力を発揚されていくことを信じるばかりです。

さて、先日(5月8日)、やっと五月らしいさわやかな昼下がり、ひらひらとというより、ぴゅんぴゅんと上、下自在にベクトルを伸ばし飛んでいく蝶を発見。私の好きなアオスジアゲハ、羽のエメラルド色の模様が美しい蝶です。

10日ぐらい前には、たいへんショックなことがありました。一年前から見守り続けていたアオスジアゲハのさなぎが忽然と消えていたのです。目立たない安全そうなところ(あくまでも人の目から見て安全そうな場所は、裏返せば、人に見つかるような場所は、安全でないのでしょう)だったし、しっかりした個体だったので羽化するのを楽しみしていたのに残念でした。

この季節に青虫になり、さなぎになるのをいくつも見てきましたが、すぐに寄生虫に吸い上げてさなぎが空になったり、枯葉のように茶色になってしまったり、、、、全くもって自然界は厳しいものです。

そして、昨日(5月11日)、見守ってきてもう一つのさなぎが留守になっているではありませんか!頭のほうから割れていて、ちゃんと飛び立っていったようです。孵ったさなぎを見るのは初めてのことです。この子は、先の消えたさなぎよりも小さくて、しかも、さなぎを支える2本の糸の片方を箒で引っ掛けられて1本で頑張っていて心配でした。冬には屋根から落ちてきた雪に埋もれて、残るもう片方の糸も切れるかと気をもみましたが、なんと無事でした。本当によく頑張ってくれたと心のそこから嬉しくなりました。

小さな生物が一生懸命に命をつないでいく姿は、尊いことだと思います。

人間も負けて入られない、という気になります。

今の命を精一杯使いきりたいと、そう思える日でした。

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