「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
秋も深まり境内の木々の葉も様々に化粧しております。
今月は、神社に小さな助っ人が3日間来ました。市内の中学二年生の職場体験です。これまでも受入は受諾したものの、実は該当者がありませんでした。なくてまあ当然と思っていましたから、来るというのが驚きでしたし、それ以前に、学校という公的な、しかも教育機関が神社を受入先としてよく依頼したものだとちょっと意外でした。そんなわけで、今回は職場体験談をご紹介します。
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神社を選んだ理由は、他の人と違うことがしたかったから。
(なるほど、それはちょっと他の職場ではできない体験)
事前に掃除ばかりだと担任の先生から言われていたが、実際は、掃除ばかりではなかった。
(かなり掃除、掃除と言い聞かされていたようです)
第1日目、家をでるときは、歩くのがどれくらいかかるかな・・・と思った程度。
(片道40分を徒歩で通い。バスも利用できるけど、歩ける距離だから歩いたとのこと。さすが中学生!)
しかし、神社の階段が見えるにつれて、とりあえず緊張し始めた。
(事前打ち合わせに来たときとはニコニコとしていましたが、打って変わって、がちがちに硬直して登場。それでも、挨拶、返事はハキハキしてました)
やっていくにつれて、だんだんなれた。
(それは、よかった)
1日目は、陶彦社の拭き掃除。雑巾がけが思ったよりたいへん。学校でするように四つんばいでやろうと思ったが、床がすべらなくてできない。
(雑巾がけは難しい。たかが雑巾がけ、されど雑巾がけ。雑巾が団子状態になっては拭けないし、力も入らない。けっこう苦労している様子でした)
学校の掃除の時間は、雑巾絞りの係。ひたすら雑巾を絞り、拭く人に渡す。係は代われるけど、人気のない雑巾絞り係を率先して買って出ている。理由は特にない、何となく・・・。
(雑巾を絞ることは、今どきの人は下手。だいたいがうまく絞れないし、絞れてもべたべた。それなのに手つきもよいし、しっかり絞れていて、感心、感心)
午後は、落ち葉の降る中、ひたすら掃き掃除。
(この日は、吹きまくる北風に掃いても掃いてもまた落ちる。でも、なかなか上手に掃き寄せます。小学校から通算竹箒暦7年のキャリヤの持ち主とのこと)
イメージと違い、思ったより掃除は少なかった。お日供に参列したが、これは予想とおりの神主さんのお仕事。でも、驚きは、神社でピカチュウを作るとは・・・びっくり!!!
(折り紙で作ったピカチュウは、七五三詣のお子様への小さな贈りものです)
2日目は、今日もがんばろうと家を出る。夜は塾に行き、昼間は慣れないことをしたので、疲れが出て、神社に着いたものの、ちょっと低調モード。
(にもかかわらず、自分から元気よく挨拶していて、参拝者の方からお褒めの言葉をいただきました。気持ちのよい挨拶は、人の心に響きます)
神楽殿の掃除は、1日目よりは汚れが少なくて楽かも。午前中はご祈祷が続き、お客様のご案内。接客は、特に・・・無感想。お昼にしていいよ、と言われたとたんに、神楽殿に案内していったお客様の靴をそろえる仕事もほっぽりだしてお弁当に飛んでいきそうになり注意された。
(だんだん元気がなくなったのは、お腹がすいていたからか・・・)
午後は、またひたすら掃き掃除。疲れて家に帰り、思わず爆睡。目が覚めると5時ぐらい。あわてて職場体験から帰ったことを学校に電話連絡した。
(神社は5時までも、こき使っていると先生方に思われたかしら?)
3日目。今日でもう最後といつも通りに家を出た。最終日は、ご本殿の雑巾がけ。手つきも上手になったとほめられた。ピカチュウ作り、銀行へ両替の御使い、途中で飛び入りの仕事で、本山中学校の狛犬の陶芸作品の運搬などなど。
この3日間で、やっぱり掃除が一番たいへんだった。友達としゃべれないのが寂しい3日間だった。でも、職場にガンダムの好きな人がいてよかった。仕事は、何でもたいへんだとつくづく。やっぱり、学生がいいな・・・。
(はい、はい、そのとおりでございます。試験はやだけど、試験があるうちが誰しもよかったと思うもの。3日間よく頑張ってくれました。)
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