「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
暑中お見舞い申しあげます。
梅雨の幕引きに降った雨は、隣接する岐阜県では甚大な被害をもたらしました。確かにこの辺りも降り方が猛烈で、屋根を貫くような勢いでした。被害にあわれた地域の皆さんは、たいへんなことだとお見舞いを申しあげます。
その前は長雨で、一向にお天道様が顔を出さない。
いつも参拝にいらっしゃる陶芸家の奥様に、太陽が出ないのは困りますね、と声をかけたところ「うちも、おうじょうしてます」(瀬戸弁:おうじょうする=たいへん困っている)と返事が返ってきました。私が怪訝な顔したのでしょう、「ぜんぜん乾きませんから」と言われました。あっ、そうかと気づきました。ピンときた方は瀬戸人ですね。洗濯物ではありません、素焼きです。天日に干さなければ次の段階に進めません。何事に関しても、太陽の力に頼るところが大きいと再認識しました。
そして、空は一転してカッと晴れて夏空になりました。今度は暑すぎると勝手なことを言うもんだとお天道様は呆れ顔でしょう。
ところで、一昨日久方ぶりに虫の宝石、玉虫に出会いました。毎年、羽を数枚か死んでいるのを拾うかはするのですが、なかなか生きている玉虫にはあえません。4、5年前に生きているのを発見してコラムに写真をアップして、玉虫厨子のことを書いて以来です。しかも、今回は「おいで」と手を差し出すと、この物体はなんだ、と言わんばかりに前肢をあげて動かし、進むべきか、進まざるべきか迷っている様子でしたが、なんとゆったりゆったりと手のひらに上ってくるではありませんか。
目の高さまで持ってきてまじまじと見ると、肢の一本、一本が美しい光沢ある緑に覆われて金属のように艶やかで、顔はよく見ると仮面ライダーに似ています。そのままどんどん上ってついに襟元までやってきました。遊びに来る子供とかに見せてあげたいのですが、捕まえておくのは忍びないので、木陰に連れて行きました。手元にカメラも携帯もなかったのが残念です。玉虫は、玉虫色で幸せです。これが黒かったら何かに似ていますから。でも、美しさは身を守るのか、身を滅ぼすのか分かりません。美しいから捕獲されてしまうことも事実ですから。
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