「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
コラムをお読みのあなた様、携帯メールはフィルタリング設定してありますか。特に子どもさんのケータイは大丈夫でしょうか。(子どもたちにとって、携帯電話は、「電話」ではなく、メールやサイトのための「ケータイ」だそうです。)
かく言うねぎどんも、全国webカウンセリング協議会理事長安川雅史氏の講演「インターネット誹謗中傷」を聴くまでは、「フィルタリング?何それ?」の口でした。「なりすましメール」も、もちろんねぎどんの辞書にはなく、知らないことは恐ろしく、知らずに開いたサイト(携帯やパソコンサイト)の世界ではいい餌食なってしまう、ケータイにどっぷりつかっている子どもたちは、無防備で本当に蟻地獄に落ちてしまうことになりかねない話にぞっとしました。
「なりすましメール」とは、本人になりかわって第三者が本人になりすまして送るメールのことです。安川氏のあげた事例は、クラスに周囲がうらやむカップルがいて、それをやっかむクラスメートが「なりすましメール」を使って、二人それぞれに愛想が付きただの相手の悪口だのを送りつけ、受信した二人は、まさか他人からのメールとは気づかずにそのメール内容を鵜呑みにして、以来クラスでは目も合わせぬ仲になってしまった、というものです。
この二人が迷惑メール受信拒否のフィルタリング設定をしていれば、仲のよいカップルのままお付き合いが続いたでしょうに。未設定の方は、この続きを読まれる前に設定をして下さい。設定方法は、以下のとおりです。
学校裏サイトやプロフィールサイトは、新聞やニュースでその言葉は知っていても見たことはありませんでした。そこで、サイトを開いてみると子どもたちの驚くほどの赤裸々な実態が見えてきます。メールやサイトへの書き込みで、登校拒否はもとより、大切な命まで奪ってしまうことになるのは、異常としか言いようがありません。一人がクラス全員になりすまして気に入らない相手に「死ね」「うざい」と「なりすましメール」を送りつけることができる、サイトに好き勝手に中傷を書き込んでそれが真実のようにみせつけて、それを不特定多数が見れるWeb上にばら撒くことができる、そんな恐ろしい行為が日常的に繰り返されてはびこっていることは、すごい勢いで日本の社会を蝕んでいることになると言えます。
他人を傷つけることをなぜなんとも思わないのか。それは一人だけの世界、自分だけの闇の世界でしているからだと思います。誰も見てない、聞いてない、誰にも自分がしたとバレない、相手の顔を見てののしるとか殴るとかの具体的行為を伴わないので心にも体にも痛みを感じないでできてしまう、それもケータイがあればすぐにその場で簡単にできてしまうのです。このないない尽くしは、人の倫理観をも無きものにしてしまうのでしょう。人と関わることをしない闇の世界に依存した子どもが、大人になったからといって社会性が身に付くものではありません。社会を構成している最小単位である家庭や人間形成をする場である学校で人間関係が構築できなければ、社会に出て働くようになっても無理なことでしょう。
ところで、小さな子供さんを連れて神社にお参りにいらっしゃると、砂利を投げたり、灯篭に上ろうとしたり、子どもたちはいたずらをすると「神様が見ているからダメだよ」、また、ご祈祷を受けられるとき「神様の前だからいい子にしてようね」とおっしゃる言葉は、貴重な心を育む大切な言葉だと思います。神様が見ているのではなく、神様は人の心にいらっしゃいます。それは、神様を信じるかどうかの信仰というよりも、良いことと悪いこと、今この場所ではどのように振舞ったらよいか、そういった規範を学ぶことにもなり、心に自分自身を見つめるもう一人の自分をもつことに繋がると思います。
たった一人でいても神様はどこにでもいらっしゃり、そして見守っていらっしゃいます。一人でサイトに悪口を書き込もうとしたとき、もしその子の心に「あっ、神様が見ている」という気持ちがあったら、簡単にはできないのではないでしょうか。私たち大人は、子どもたちの心がすさむ前に人としてあるべき姿を見せ、心のあり様を説く責任が性急に求められているのではないでしょうか。
最後に安川氏が出題された、子どもたちがプロフィールサイトで使う隠語のテスト(?)から一問。
「神様、急募!」(ヒント:家を飛び出し追い詰められた子どものプロフィール)意味が分かる方は、子どもの危険な現状をかなり理解なさっている方です。
答 家出して行く当てがない子には場所と食事を与えてくれるだけで神様。 だがそんな子どもを弄ぶ悪い大人がサイトをうろうろしているのです。
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