弁天さん

2009/04/29

神社は木々の緑の美しさが際立ってきました。それにしても今年はおかしい。何がおかしいかというと、クスノキの葉の落ち方です。たいていはゴールデンウィーク過ぎまではらはら、はらはらと落ちます。それが、今年は陶祖祭(4月18・19日)の頃にどっと落ち、お祭のイベントの「JIMO婚、ぞっ婚」の花嫁花婿へは桜吹雪ならぬ葉っぱ吹雪でクスノキたちは盛大にお祝いしてくれました。いきなりの夏日が続いたり、急激な気温の変化に葉っぱたちはついていけないのか…。瀬戸の春雨町(市斎場)も冥途へ旅する人々がたくさんいらっしゃるようでしたから、自然界に生きる生命はいずれも同じと、素人考えするねぎどんです。

さて、今回は弁天さんのご紹介です。5月1日は弁天さんのお祭です。

町内の方がクヌギの葉と花でいっぱいの境内を清掃し、近所に「市杵島(いちきしま)神社」と書かれたのぼり旗を立て、皆さんが集まり年に一度の例祭を執り行います。弁天さんなのに、神社???「あれっ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。そうなのです、弁天さんとは、弁財天のことですし、市杵島神社は、イチキシマヒメをお祀りしている深川神社境内にある末社です。

アマテラスとスサノオが誓約(うけい)により、アマテラスがスサノオの十拳剣(トツカノツルギ)を三つに折り、噛んで吹いた息に成った三柱の女神の一人です。三女神の名前は、タギリヒメ、タギツヒメ、イチキシマヒメです。この三女神は、福岡県の宗像大社や広島県の厳島神社のご祭神として有名で海の安全を司っています。イチキシマヒメは、仏教との習合により弁財天、すなわちインドのヒンズー教の河の神の妻とも娘とも言われるサラスパティと同一として信仰されるようになりました。弁財天は琵琶を手にしており、技芸の上達、財宝の神、男女の和合の神として崇められています。

親しみをこめて呼ばれる弁天さんの境内には、一本の大きなクヌギの木があります。この前までは大きな葉をガサガサと落としてたいへんでしたが、この頃は長さ10cmぐらいの毛糸のようなモジャモジャの花をフワフワと落としてくれます。この花がコンクリートの上に落ちたところに雨が降ると、ちょうど錆びた釘のような色がついてしまい、灰汁が強くてなかなかシミがとれません。

そして、秋には立派な実をつけます。けっこう大きなクヌギの実は珍しく貴重なようで子どもたちが拾いにきます。また、ときには年頃の娘、息子をもつお母さんが訪ねていらっしゃったりもします。実は、このクヌギ、持っているといい人にめぐり合えるそうです。これは弁天さんのご利益なのでしょうか。ただし、落ちているクヌギには効力がなく、殻に実が入っているクヌギでなければいけません。これがあるようでない。

ねぎどんも、いつかちびっ子がくれたのを大切に持っていましたが、あらら、いつの間にうにょうにょと虫が出てきてしまって確か捨ててしまいました。先に虫がついているようじゃやっぱり効き目はなさそうですね。

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