「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
ついこの前うぐいすの初音を聞いたかと思うえば、神社の桜も満開。今日にも風が吹いたら、花吹雪となるでしょう。クスノキの葉は、毎年のことながら降るように落ちては掃き、掃いては落ち、しばらくお付き合いしなければなりません。この頃は、10p近くもある大きな葉もあり、ああ、木は成長しているんだな、と嬉しくもあり、葉の量も増えていくんだろうな、とほろ苦くもあります。
4月は18日、19日に陶祖祭があり、陶祖・藤四郎さんの遺徳をしのびます。さて、このところ非常に多いのが、この陶祖をお祀りしてある陶彦(すえひこ)社前に並んでいる「お願い狛犬」を受けにいらっしゃる参拝者です。残念ながらお祭が有名だからではなく、芸能人の番組で続けて取り上げられたからでしょうが、棚の上で肩を並べて鎮座している仲間がどんどん増えています。皆さん、テレビをよく見ていらっしゃるということなのでしょうが、ありがたいことです。
「お願い狛犬」は、うちの“ヒット商品”(ちょっと下世話な表現ですみません)で、実際根強い人気があります。願い事を託した狛犬一対のうち、一つを神社に奉納し、もう一つを手元に置いていただくのですが、その持ち帰った片方を願い事が叶ったといって、返しにいらっしゃる方もよくお出になりますし、また受けていかれる方も多いです。一対といえば普通は阿吽ですが、陶祖作の重要文化財の狛犬は、口を閉じた吽形のみ現存しているので、「お願い狛犬」もそれにちなみ吽形のみとなっています。
狛犬人気は、停滞気味のこんな世の中なので、藁をもつかみたくなるのも一因でしょうか。狛犬に願いを掛けるのはもっとも今に始まったことではなく、江戸時代に願を掛けて狛犬を奉納する風習があり、当神社にもそうしたものが数対残っています。いつの時代も困ったときは神頼みというわけです。狛犬君が皆さんの願いを叶えるよう一生懸命に神様に働きかけることを祈っております。
しかしながら、ねぎどんもかつて「お願い狛犬」に願を掛けましたが、どうも信心が足りなかったのでしょうかお聞き届けいただけなかったように思います。まあ、身内に厳しいということでしょうか?
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