「ねぎさん」と、たまにお年寄りから呼ばれます。 禰宜(ねぎ)は、昔は神主さんの下、祝(はふり)の上の神職です。
「ねぎ」は、祈ぐ(ねぐ)からきています。まぁ祈るのがお仕事です。が、実は、毎日の一番の仕事は、お掃除であります。
それはさておき、時々あれこれとつぶやくのでお聞きください。
寒暖の差が激しかった二月も終ろうとしています。春一番も吹き荒れましたが、この季節は風が強いです。境内は、たぶん一年のうちで落ち葉が一番少ない時期ですが、枝は多く落ちます。それは、小枝であったり、枯れてしまった大きめの枝であったりするのですが、落葉樹の生命の休息期の冬から芽吹く春への準備として、風が不必要なものを除く手助けをしているのではないかと、自然の営みの計算されたような素晴しさに感じ入ります。
日陰はまだ肌寒くとも、ぽかぽかとした陽だまりは散歩心をくすぐります。この時期の瀬戸の街は、「瀬戸のお雛めぐり」イベントで訪れる人が増えています。当神社の社務所にも、コレクターの戸田氏所有の昭和初期の立派な雛飾りが並んでいます。
ところで、お内裏様とお雛様の並ぶ位置が、関東と関西では異なることは、ご存知の方も多いでしょう。京雛は、向かって右がお内裏様、左がお雛様、関東はその反対です。学生の頃に古文か何かの勉強で、「左近の桜、右近の橘」と習い、「どうして右にあるのに左?左にあるのに右?」と首をかしげた人もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、陰陽道の左を陽、右を陰とする考えに基づいています。京都の紫宸殿、つまり帝のいらっしゃる場所が中心ですから、そこから見た右と左なので、下々から見た場合とは左右が逆になります。地図でも左京区、右京区は、サクラとタチバナと同じく右左が逆になっています。
神社では、正面にいらっしゃる神様から見ての位置になるので、やはり向かって右を上位、左を下位とします。神社によっては異なるかもしれませんが、当神社では結婚式の場合、向かって右に新郎、左に新婦に座っていただきます。
また、真ん中は神様の場所ということで遠慮します。例えば腰掛を並べるとき真正面には置きませんし、神職の作法には、真ん中を横切るとき頭を少し下げて通る約束があります。
以前、参拝者の一人がお連れの方に、「神社に参拝する場合は、ご本殿の真ん前を堂々と行くのは無作法だ」と話をしていらっしゃるのを耳にしたことがあります。それはその通りでしょう。偉い人の真ん前に向かってどしどしと歩いていくようなものです。ご神前に近づくときは少し遠慮がちにいき、お願いするときはしっかりとまん前で頭を下げてみてはいかがでしょう。何事も礼儀は大事、もしかしたらお願い事もよく聞いて下さるかもしれませんよ。
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