心揺さぶる出会い

2008/08/31

凡人の誰もが感じることでしょうか、年年歳歳物事に対する感動力が薄れるようです。日々があまりに日常化し過ぎて、一年が同じことの繰り返しで重なっていくからなのか、はたまた皮膚がこわばってくるように、心の表面も柔軟性が失われていくからなのか、新鮮さに鈍感になり、感動って少なくなります。「なんだかぜんぶ、あったりまえ、、、、」というのが極めて普通になってはおしまいですね。

サムエル・ウルマンの詩「青春」の一節を思い出します。

人から神から・美・希望・よろこび・勇気・力の霊感を受ける限り君は若い。〜

そんなことを感じてしまうねぎどんが、久々に感動しました。自然に心の中にすーっと入り込んできて、どこか懐かしくやさしい、そして深く染み渡る調べに心が震えたのです。

先日、自称旅芸人の矢吹紫帆(やぶきしほ)さんのお話を聞く機会がありました。5才からクラシックピアノを始めてより、ずっと音楽に関わりながら紆余曲折を経て、夢を一つずつ形にしていった体験を語られました。シンセサイザー奏者として国内外で活躍され、私は残念ながら知らなかったのですが、NHK「美の回廊をゆく」(1996年)や中学生日記など様々な音楽を担当されていらっしゃいます。そして、2001年には、夢だった海の見える音楽ホール「天女座」を三重県熊野市にオープンさせられました。

さて、過疎の進む町の閉鎖された工場を、手作りで「天女座」(http://www.tennyoza.com/)に変身させるまでの道のりを紹介する映像が始まりBGMが流れてきたとたん、ねぎどんの心は「なに、なに、これ?」と動き出しました。そして、今は会えない大切な人が心に浮かび上がり、とても目をあけていることができませんでした。胸がいっぱいで目頭が熱くなり、たぶんそこが講演会場でなければ、一人ぼろぼろと泣いてしまっていたことでしょう。おかげで「天女座完成物語」は全然見ていません。その曲名は「光の扉を開けて」でした。(天女座HPのBGMに流れてます。)

講演後、アンケートを書いた人の中からCDプレゼントの抽選がありました。くじ引きなど縁がなく、全員プレゼント以外当たったことのないねぎどんなのですが、なんと一番に当たってしまいました。いただいたCDのタイトルは「神々の庭」で、収められている曲は、熊野古道、伊勢神宮などいずれも神道にまつわるもので、雅楽の調べを基調に作曲されています。しかもそのCDには、あの心を揺さぶった「光の扉を開けて」が入っているではありませんか。正直、たいへん驚きました。

更にもう一つ付け加えるならば、その日の講演は、実は講師がやむを得ず来られなくなり、矢吹紫帆さんはピンチヒッター、すなわち本来ならば会えない人だったのです。

偶然の生む不思議さは、本当に偶然なのかと首をかしげます。偶然は必然かどうか、哲学的なことは頭に混乱をきたすのでさておき、大事なことは人にしろ、音楽にしろ、物にしろ、自分が出会うもの一つ一つが自分に発する、語りかける何かを捉えることのできる心を持つことなのだと、改めて思いました。この「神々の庭」との出会いを更に発展させたいという思いがふつふつと心に湧いているねぎどんです。

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