オーブントースターの恐怖

2008/03/07

ひっくり返った何かの拍子にスイッチが入り、開いた口に様々なものが飛び込んで出火―。オーブントースターでそんなことが起こるとは、とても思いもつきませんでした。電気ストーブなら留守にしたり、長時間その場を離れたりするときにはコンセントを抜きますが、オーブントースターのコンセントまではさすがに気が回りませんでした。電気ストーブは転倒すると通電しない仕組みになっています。最近のオーブントースターもそうなっているのでしょうか。「電化製品のコードは必ず抜いてください」という防災ボランティアさんの声が耳に残っています。

先日、「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」を見学する機会がありました。1997・1・17 この日ねぎどんは日本にいませんでした。テレビ画面を通じてのみ知る震災の状況は、どこか遠い国で起こっているようで今一つ実感がわかず、その惨事を臨場感薄く見ていました。復興後の神戸市中心部を訪れるのは二回目ですが、大地震を想起させる傷跡はありません。今の姿が元々の神戸の姿だと思ってしまう立派な街で、その復興振りも驚くものがあります。

あの日のあの瞬間を伝える「1.17シアター」で、地震破壊のすさまじさを大スクリーンと大音響で味わいました。

7分間の上映時間です。淡路島の裂ける田畑。神戸市の中心市街地。商店街の崩れ落ちる建物。ああ、そういえばニュースで見た…記憶に残る、押し倒された高速道路の橋げた。分断された道路の先にひっかっかたバス―。

それらの映像が生々しく目の前に押し寄せ、正直な感想は「これでは…逃げられない」の一言でした。ちょうど小学生の団体も居合わせており、終演後泣き出してしまい先生に付き添われている女の子の姿も見受けられました。確かにかなり衝撃的な映像です。

ところで、地震の神様はどの神様なのか調べてみました。地震と表記して「ナイ」と読みますが、地震の神様はそのままで地震神(ナイノカミ)でした。「神道事典」によると、日本書紀に武烈天皇紀の歌謡に地震が読み込まれ、推古天皇紀に大和地方の地震の被害の後に四方に祭るよう命じた記述があるそうですが、実はあまり取りざたされていない神様のようです。地鎮祭では、その土地で地震が揺すっても大丈夫なように祈願します。そのときお招きしている神様は、大地主神(オオトコヌシノカミ)や産土神等で特に地震に関する神ではありません。

自然神には水の神、海の神、山の神、風の神などあります。それぞれの神格に対し雨乞いをしたり、海難防止を願ったり、豊穣を祈念したりしますが、地震の神は人気がないようです。考えてみると、自然の豊かな恩恵と一度牙をむいたときの恐ろしさは表裏一体ですが、地震は百害あって一利なしと言えそうです。だから人々の信仰の対象からは外れてしまっているのでは…?

東海地方も、大地震が来る、来ると言われ続けいます。一瞬にして全てを覆す大地震が襲ったときに生死を分けるのは、その人の運命としか言いようがありません。しかし、防ぎようはないにしても「減災」という考え方は大事であると思いました。とりあえず、その日、家に帰ってすぐにオーブントースターのコンセントは抜き、水のペットボトルは出入り口からすぐに取れる場所に移動したものの、なかなか緊急持ち出しリストの用意までは整えきれないねぎどんです。

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