2007/08/06

今年は、蝉の合唱の声がやや小さいように思います。虫取り網を持ってやってくる子供さんもとれなくて残念そうです。アブラゼミよりも早くヒグラシの声が聞こえたり、これまで夏に見たことがなかったメジロを見たり、苦手な蛾が大量に発生したり自然界もどこかおかしいように危惧されます。

さて、夏は海へお出かけになる方も多いと思います。私も、久しぶりに名古屋港へ行ってきました。海や港は、やはり独特の雰囲気があります。日差しの強さや風にのる潮の香、そして、ふだん山に囲まれて住むものには、特に平で開けている土地と目の前に広がる海は行く手をさえぎらぬ開放感があります。多くの船や人の行き交う港は、自分の置かれているその場から外の世界へ通じることができる、或いは未知の世界を想像できる場であると思います。

名古屋港には、その日の午後帰港したばかりの商船三井客船の「にっぽん丸」が停泊していました。全長166m、全幅24m重さ21,903t、乗組員のスペースが地下2階、客室は7階の9階建ての船舶は、まさに洋上の動くホテルです。見上げる船体の白さはまぶしく、海面に浮かぶ船体部分から船首にかけての曲線は優雅で美しかったです。ある催しで船内に入ることができたのですが、船内清掃をまだ行っており展示用の船ではない生活感がありました。船体も潮風で傷むのでしょう、数名でデッキにペンキを塗る作業が、旅を終えたにっぽん丸の疲れを癒しているように見受け取れました。

ところで、海の神様は、海神と書いて「ワダツミ」と読みます。古代は、海をワタ、またはワタノハラと呼び、ツミは、司るという意味なので、ワダツミは海を支配し、海上交通の安全、豊漁をもたらす神様です。神話でよく知られている山幸彦・海幸彦の話では、山と海でそれぞれの生業を営む兄弟が互いの仕事を取りかえてみたのですが、山幸彦は兄の釣り針を失くししまいます。山幸彦はそれを探し、訪れた海中の宮殿に住むワダツミに助けられて見つけることができました。

にっぽん丸のコンシェルジュ(船旅での催しの総合的な運営を担当)の方が、360度見渡す限り海、海、海という日が何日も続くときや、イルカの大群に出合うときなど、陸上にはない自然の素晴しさがあると話されました。どんなに立派な客船でも所詮は人間が乗る船は大海原にしてみれば、小舟に過ぎません。船旅などしたことの無いものが想像するに、穏やかさと順風に味方されなければ人間の力では航海ままならず、正に海神の守護を祈るのみで、海は確かに自然の恵みと脅威を体感できるのでしょう。

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