おてんのうさん

2007/07/15

先日、京都の友達から京の夏の風物詩「祇園祭」の鉾の曳き初めの写メールが届きました。そうかと思ったら、台風4号の到来で大急ぎで鉾の避難対策をしているニュースも流れてましたね。祇園祭は京都のもので縁のないものかというと、実はそうではありません。この辺り、瀬戸市の品野地区で祇園祭があります。また、この時期は町内によっては赤いちょうちんを街角のお社に飾ってお天王さんのお祭をしています。

「おてんのうさん」は、天皇さんという意味でのお祭なのか、なぜ「おてんのうさん」というのかと質問はよくされます。お天王さん、天王祭、と言えば、愛知県津島神社の祭礼で、7月の第四土、日曜に行われます。この辺りの町内も、お社にはその津島さんの御札をお祀りしているのです。簡単にいえば、津島神社の近くにはかつて天王川があり、その辺りは湿地帯で夏になると疫病が流行ったのでその夏病みを封じる為のお祭が天王祭です。

津島神社は、中・近世は津島牛頭(ごず)天王と呼ばれたそうです。牛頭天王とは、中国から伝わり様々な神と習合しスサノオやオオムナジと同一視されたりしています。いずれにせよその神格は疫神で、八坂神社の祇園祭でも津島神社の天王祭でも崇められている神様です。

当社でも今年は特に大勢の方にお参りいただいた6月30日の大祓、茅の輪くぐり神事も、やはり、夏病み封じを祈願した神事です。これも元々はスサノオをもてなした蘇民将来に疫病から護る「茅(ちがや)」を与えたことから行われる神事です。

暑くて湿度が高い日本の夏は本当に体にこたえます。だから、昔から全国的にこのような疫病に対する神事が大々的に行われます。現代のように栄養事情も良くはなく、医療も発達していない時代に夏を健康で過ごすことは、一般庶民の切に願うところであったことが推し量れます。年々地球温暖化で気温が上がる一方の夏となっています。皆様方も、どうかお体にお気をつけてこれから迎える暑い夏を乗り切ってくださいませ。

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